数あるドラゴンボールの物語の中でも今も自分を惹きつけてやまない、
絶望の未来世界を描いたサイドストーリー。
原作版の『TRUNKS THE STORY─たった一人の戦士─』。
アニメ版、テレビスペシャルの『絶望への反抗!!残された超戦士・悟飯とトランクス』。
自分なりの疑問の解消を目指し、
改めて、なぜ未来の悟飯は人造人間に勝てなかったか。というテーマで、
原作、アニメ版どちらにも目を向けながら、腰を据えて考えてみました。
拙い内容かと思いますし、
解釈違いや間違い等もあるかもしれませんが、楽しんで頂けたら幸いです。

・悟飯はカリン塔、神の神殿(精神と時の部屋)へ行かなかったのか
(※ここから文体が、だ、である調に変わります)
まず、
未来の世界でピッコロが殺されたのは不運だったとして、
亀仙人が生き残っていればカリン様の事を悟飯に伝える事ができるので、当然仙豆は手に入るし、
カリン様の手引きでそのまま神様の神殿に案内されて精神と時の部屋で修業するという
悟空の修行コースを踏めるのでは?という疑問が浮かぶ。
そして、原作本編の精神と時の部屋修行後の悟飯の実力を鑑みるに、例え一人で入ったとしても、
あそこで修行してたら人造人間(それも本編の世界よりは戦闘力の劣る二人)
になら勝てたんじゃないかという期待がでてくるのである。
原作版での亀仙人の生死は分からないし、本編のようにカメハウスが襲撃されて、
その際に殺されたとも考えられるが、カメハウスの場所は16号からの情報で、
17号らは知らなかったようだった。
そもそも、生存しているブルマがカリン塔の存在を知ってるんじゃないのかという話になる。
アニメ版では亀仙人はずっと存命だったので、
何故カリン様の存在を伝えてないんだという疑問につながる。
・未来の悟飯は精神と時の部屋に入っていないのか
原作、アニメ、共に悟飯が精神と時の部屋で修業したかという事は言及されていない。
しかし、たとえ一人での修行といえど、原作本編、修行後の悟飯と戦闘力にあまりの差があるため、入ってないと捉える方が自然な気がする(この事は断定はできないが)。
また、原作本編において、未来の自分は人造人間に勝てなかったと言った悟飯に対して悟空が、
未来の悟飯は精神と時の部屋で修行してないだろ?という旨の発言があった。
それは想像ではあっただろうが、悟飯の潜在力に期待していた、気付いていただろう悟空には、
悟飯がこの環境で修業すれば人造人間以上の実力になる可能性がある、
もしくはその可能性が高いという目算から生まれた発言であろうと推測できる。
また、作品外から見た視点となるが、
作者がそのように認識している設定と取る事もできなくはないので、
ニュアンスとしてではあるが論を補強する材料になると言えよう。
・カリン塔(カリン様)、神殿(精神と時の部屋)は人造人間に破壊されたのではないか
原作版アニメ版共に、上述したような疑問、問題について無理矢理にでも解釈しようとした時、
人造人間がカリン塔や神殿を破壊した。という筋書きが、
一番納得しやすく妥当性を帯びているように思える。
原作、アニメ共に仙豆は底をついてる状態である。
どちらの作中においても悟飯が仙豆の効力を知ってるのはまず間違いない(原作版ではトランクスまで知っているのだから、当然誰かが説明している、そして最も自然なのは悟飯)、
効力を知っているなら、仙豆というものがどこで手に入るアイテムか、
カリン塔のカリン様から貰えるという部分についても、
聞かされるかして知っているのが自然じゃないかと思う。
それでもなお枯渇してるという状態は、カリン様が死亡しており新しい仙豆が生成されない以外には、悟飯が全く仙豆の効力以外の情報を知らなかった且つ、
戦士達の死後、教えてくれる存在が一切いなかった等のいささか不自然な環境でしか説明できず、
あまり現実的とは思えない。
・17号は仙豆の存在を知っていた
これが極めて重要な点で、
原作本編において17号はZ戦士との戦闘後、仙豆を早く飲めという発言をしている。
この事から、
17号には、改造によって仙豆やその他の情報がインプットされていると見るのが自然だろう。
同質の改造を受けた18号にも同様の情報がもたらされている可能性も高い。仙豆の効力を知ってるという事は、仙豆の成り立ちや入手経路について知っていてもおかしくない。
また、それはカリン塔と程近い場所にある神の神殿、精神と時の部屋についても例外ではないだろう。
仮に17号が仙豆、カリン塔のみ知っていてその上の神様の神殿を知らず、帰っていったとしたなら、
その後、悟飯を向かわせ修行しなかった事が不自然になるので、破壊されている、
それを後に誰か(おそらく悟飯)が確認を取ったとするのが自然じゃなかろうかと思う。
・脅威の排除の現実味
原作本編の世界線の17号達なら、
そこまで徹底して自分達への脅威を取り除こうとするかと言えば想像できないが、
未来世界での17号達は本編よりも破壊衝動や行動が過激なように思える
(一応未来に帰ったトランクスも、過去のお前らは少しはマシだったと言っている)。
人格に違いが出ているなら、上述の行動を起こす可能性もまた変わってくるかもしれない。
それに原作本編とは異なる点として十年以上の時間経過がある。
それだけの時間があれば原作本編の人造人間達でさえどういう変化が起きるか分からない。
もしかすると未来の世界のように殺戮や破壊を楽しむようになるかもしれない。
また、脅威を取り除くという動機以外でも、
例えば退屈だからといった取り留めもない理由でも、
神(カリン、ミスターポポ)達に会いに行くという発想に至った可能性は考えられなくはない。
・占いババ ドクター・ゲロの研究所
その他の疑問として、カリン様、精神と時の部屋、と並んで占いババの存在も思い浮かぶが、
生存しているなら人造人間の打倒に能力を活かせなかったか、
カリン様、神の神殿が失われてるなら同様に人造人間に殺されている可能性も考えられる。
原作本編のように、
17号達の製造データから弱所をみつけるという事はできなかったかという疑問も浮かぶが、
原作本編同様ドクター・ゲロは殺されているらしいので、
研究所で破壊活動が起きた可能性は相応にあるし、
今まで書いてきたように17号達が脅威の芽を摘んでいたなら研究所は当然破壊されているだろう。
・まとめ
カリン様の死亡による仙豆の喪失。
神殿が破壊された事による修行場の喪失。
占いババに代表される、他の選択肢を与えてくれる知恵者の喪失
(原作版なら亀仙人他の死亡も有り得る)。
それら仮定した種々の不幸な境遇を鑑みても、
ある程度人造人間と戦闘があった事が読み取れる悟飯が、
最後まで人造人間二人を倒せる戦闘力を身につけられなかったのは甚だ残念な事である。歯車がかみ合わなかったのだろうか、
悟飯独力では人造人間との戦いの中、
原作本編の悟飯のような戦闘力には届かなかった。
本来の実力はもっと秘められていただろう事が推測されるだけに、
なんとも惜しい最期であったと言わざるを得ない。
・おわりに
疑問は最後まで尽きませんでしたが、過程はどうあれ、
事実として、トランクスに悟飯の意志は受け継がれ、世界は平和を取り戻しました。
原作の世界線が未来を変える事ができたのも、トランクスが過去に来たおかげでもあります。
未来悟飯の死は様々な方向に影響を与え、その想いは読者達にも十分届けられた事でしょう。
絶望的な世界というおよそドラゴンボールらしからぬ世界観が、
見事に作品の多面性を引き出し、また一つ魅力を増した事は疑いようもない事実です。
原作版、アニメ版共に、絶望の中だからこそ輝いた、珠玉の作品群と言えるでしょう。
ここまでお読みくださった皆々様、お付き合い誠にありがとうございました。
そして最後に
サンキュー ドラゴンボール。以上
【考察】なぜ未来の悟飯は人造人間に勝てなかったか【DB二次創作】 でした。
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