ふと考えた。子供向けと子供だましの違いってなんだろう。

手元の年季の入った広辞苑を開いてみると子供向けについて記載はなく、しかたなく子供だましを引いてみると

 1・子供をすかしだますこと
 2・子供をだますような見えすいたつくりごと

とあった。

1は子供を実際に騙す行為の事。
2では子供を騙すような内容であり、それが見え見えの事(つくり事)だと書かれている。

1はそのままの意味として、2とは実際どういった内容の物なのだろう。


「子供」をわざわざ登場させるのは、その対であろう大人との反応の違いを現わす、という意図があっての事だろう。
その両者で何が大きく違うかと言うと、経験やら判断能力やら感性、一言で言うと精神的に成熟してるかそうでないか、そうでないかかと思われる。
つまりは、
未成熟な子供は騙せるが、大人は騙せずに簡単に気付かれてしまうような内容の物、
という事になろうか。


子供向けというのは文字通り子供を対象に想定してつくられたものという意味だと思う。
その内容は、教訓が盛り込まれていたり、内容が平易で理解しやすかったりというものが想像される。

子供を対象にしたならば、平易な内容はふさわしく、そうある事が望ましい。
それを大人が見た時、子供だましと感じるかもしれないが子供にとっては何も問題はないのである。


問題なのは、子供だけを対象にしたものではない物、大人も対象に想定されているような物なのに、子供向けのように平易な内容や作りをした物の場合ではないだろうか。
また、そうした物と遭遇した時に、大人の口から、子供だましという言葉が出てくるのでは。



整理すると、
・「子供向け」は大抵そのままの意味。対象を子供に想定した物。ネガティブな使い方とは限らない。
・「子供だまし」は大抵がネガティブな印象、否定的な意図を持って使われる言葉。主に悪口。

みたいな認識でいいのかなと思う。


言葉の定義や解釈が人によって違い、必ずしも一定ではないだろうが、少なくとも子供だましと評されないに越した事はないと言えるだろう。

そして、そうならないようにするには各々が頭を悩ませ、子供と向き合い、真剣に取り組むのが肝要だろう。

上で子供が未成熟と書いたが、だからと言って軽んじていいはずがなく、逆を言えば、未成熟だからこそ理解しやすく、学びに満ちたものが必要であると言える。

子供向けの物を作るという事はそれだけ重要で難しい役割であって、そうした役割を担う際には、それを頭に入れて取り組む必要があるだろう。
子供だましにならないように気を付けながら。






【おまけ】

・例外もあるのでは
大抵の場合、特に創作物に関して子供だましはほとんど悪口で、そう受け取られないように越した事はないが、例外として思い浮かぶものがある。それは子供を対象にした商業、ビジネスと結びついた時である。

作品や商品を子供に気に入ってもらい、消費してもらうには子供が好む内容、ビジネスモデルを展開するのが適している。

そうした商業活動は子供を騙すような内容の物で、実際に子供をだまして消費させていると言えなくもない、まさに子供だましそのものと言えるかもしれないが、収益に繋がっていればそれは成功していると言う見方もできる。

大人は騙せないような内容、ビジネスモデルだとしても実際に子供が喜び、消費活動にさえ繋がれば企業にとっては成功と言えるだろう。

言葉の持つ意味やニュアンスは多様なもので、立場や価値観が変われば一言では表せない事もあるのかもしれない。

色々考えてきた中で最終的にはそんな曖昧な感想が浮かんだ。
何事も簡単にスッキリとはいかないものである。




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